2019年に全米で社会問題化した電子タバコ・ベイプ製品が原因とされるアウトブレイク(集団発生)を受けて、米国疾病予防管理センター(CDC)、米国食品医薬品局(FDA)、州および地方自治体、その他の臨床・公衆衛生提携者が行った、電子タバコ・ベイプ製品の使用に関連する肺損傷(EVALI)のアメリカ全国的アウトブレイクについて、CDCが公開した調査レポートの英文記事の翻訳をご紹介させていただきます。

出典: CDC : Outbreak of Lung Injury Associated with the Use of E-Cigarette, or Vaping, Products


米国疾病予防管理センター(CDC)とは

アメリカ疾病予防管理センター(アメリカしっぺいよぼうかんりセンター、英語: Centers for Disease Control and Prevention:CDC)は、アメリカ合衆国のジョージア州アトランタにある保健福祉省所管の感染症対策の総合研究所。
引用: Wikpedia : アメリカ疾病予防管理センター


米国食品医薬品局(FDA)とは

アメリカ食品医薬品局(アメリカしょくひんいやくひんきょく、英語: Food and Drug Administration;略称:FDA)は、アメリカ合衆国保健福祉省(Department of Health and Human Services, HHS)配下の政府機関。
引用: Wikpedia : アメリカ食品医薬品局


電子タバコ・ベイピング製品の使用に関連する肺損傷のアウトブレイク

電子タバコ・ベイプ製品の使用に関連する肺損傷のアウトブレイク(集団発生)

概論

  • 電子タバコ・ベイピング製品に関連する救急診療科(ED)の外来は、2019年8月に急増し、9月にピークに達した後、現在継続的に減少しつつある。
  • 患者報告並びに製品のサンプルテストに基づく国および州のデータによると、テトラヒドロカンナビノール(THC) を含有する電子タバコ・ベイピング製品、特に友人、家族、対面あるいはオンラインでの取引相手などの個人的つてからの入手によるものが、ほとんどのEVALIの症例と関連しており、EVALI急増の主要な原因となっている。
  • ビタミンEアセテートがEVALIのアウトブレイクに大きく関連している。ビタミンEアセテートは、FDAや国の実験施設がテストした製品サンプル、またCDCが地理的に広範囲な州でテストした患者の体内の肺液サンプル中から検出されている。ビタミンEアセテートはEVALIを患っていない人の肺液からは検出されていない。
  • 一部のEVALI症例から報告されているTHCまたは非THC内の化学物質を含め、ビタミンEアセテート以外に懸念される化学物質を、EVALIの原因から除外する十分な証拠はない。

注釈 : 背景について

THCとは多幸感、陶酔感を刺激する化学物質であり、大麻に含まれる主要成分です。 昨今アメリカでは大麻解禁の動きが活発で、問題が発生した2019年時点で11州で大麻が合法化となり手軽に利用できるような環境でした。 解禁以前、大麻は国の認可を経てあくまで医療用でのみ製造また販売が許可されていましたが、解禁の流れに乗じて自宅のガレージやキッチンなど劣悪な環境で製造された粗悪品が市場に出回りました。

電子タバコ・ベイプ製品によるアウトブレイクについて

わかっていること:

  • 2020年2月18日付で、全50州、コロンビア特別区、および二つの米国領(プエルトリコと米国領ヴァージン諸島)から総計2,807件のEVALIの入院または死亡例がCDCに報告されている。

    ⇒29州とコロンビア特別区から68件の死亡例が確認されている(2020年2月18日付)。

  • 電子タバコ・ベイピング製品に関連する救急診療科(ED)の外来は2019年8月に急増し、9月にピークに達した後、現在継続的に減少しつつある。

    ⇒全国のEDデータおよび全国の州立保健局からの感染者数報告によると、2019年8月に EVALIの症状または感染が急増し、同年9月にピークに達しているが、それ以降少しずつではあるが継続的に減少しつつある。

    ⇒減少の理由は多因子的で、以下のようなことが関連していると思われる。

    ⇒⇒迅速な公衆衛生上の対応の結果、THCを含有する電子タバコ・ベイピング製品の使用に関するリスクについての一般的な認識が向上したこと。

    ⇒⇒一部の製品からビタミンEアセテートを除去したこと。

    ⇒⇒違法製品に関する治安当局の取り締まり。

  • 実験施設のデータによると、一部の電子タバコ・ベイピング製品に含まれている添加物のビタミンEアセテートが、EVALIのアウトブレークに大きく関与している。

    ⇒最近の研究で以下を分析:16州における51件のEVALI症例、EVALI を患っていない99人の比較対象個人から成る比較サンプル群、植物油、中鎖トリグリセライド(MCT)を含む油脂、ココナッツオイル、石油蒸留物質、希釈剤テルペン。

    ⇒51人のEVALI患者中48人から採取した気管支肺胞洗浄(BAL)の液体サンプル(肺から採取された液体サンプル)からビタミンEアセテートが検出された。ただし、健康な比較グループからのBAL液からは検出されなかった。

    ⇒どちらのグループのBAL液からも、ココナッツオイルとリモネン(それぞれEVALI 患者1名)を除くその他の中毒物質は検出されなかった。

  • CDCは2019年8月、規格化された症例報告書を使って各州からEVALI ケースに関するデータを収集し始めた。データは定期的に各州から任意で収集され、CDCへ提出された。その後、EVALIの主な原因を特定でき、2019年9月のピーク時以降EVALIの感染および死亡者数が大幅に減少したため、CDCは2020年2月に州からのデータ収集を止めている。

    ⇒しかし、CDCは引き続き全国症候群監視プログラムのBioSense/ESSENCEプラットフォームを使って、EVALI関連の動向を監視し続けている。これらのデータからは、現時点でEVALIの再発は確認できない。

    ⇒CDC は臨床医に対し、EVALIが疑われる症例が出た場合は、さらなる調査を行うために地域または州の保健局へ今後も報告を続けるよう要請している。

  • CDCは必要に応じて各州へのEVALI関連支援を今後も提供し続け、以下のサイトで最新情報を提供する。:www.cdc.gov/EVALI

CDC推奨事項

  • CDCおよびFDAは、THCを含む電子タバコ・ベイピング製品、特に友人、家族、対面あるいはオンラインの取引相手などの個人的つてからの入手によるもの、を使用しないよう推奨する。

  • ビタミンEアセテートはいかなる電子タバコ・ベイピング製品にも添加されてはならない。また、製造元が意図しない他のいかなる物質も製品に添加してはならない。それには小売業者から購入された製品も含まれる。

  • タバコの代わりにニコチンを含む電子タバコ・ベイピング製品を使用する成人は、再度タバコを使用すべきではない。入手可能な全ての情報を吟味し、FDA認可の禁煙治療薬を利用することを検討する必要がある。電子タバコをタバコの代わりに使用する成人は、完全にタバコから電子タバコへ切り替え、それらの両方を長期間使用すべきではない。そうした使い方をすれば完全な禁煙を遅らせることになる。上記の人々は、電子タバコも含めたタバコ製品をやめる必要がある場合、また、EVALIの懸念がある場合には、医療専門家に連絡をとる必要がある。

  • 電子タバコ・ベイピング製品(ニコチンまたは THCを含むもの)は未成年、若年成人、および妊娠中の女性は絶対に使用すべきではない。

  • タバコ製品を現在使用していない成人は、電子タバコ・ベイピング製品の使用を始めるべきではない。

  • THCの使用、特に長期にわたる頻繁な使用は、幅広い健康上の問題と関連している。潜在的危険性のある影響を回避する最善の方法は、THCを含む電子タバコ・ベイピング製品を使用しないことである。

  • 甚大な障害または苦痛を引き起こす大麻を常習している人は、医療専門家による根拠に基づく治療を受ける必要がある。

※電子タバコ・ベイピング製品の使用に関する主要事実

  • 電子タバコ(e-タバコ)は、ベイプ、e-水ギセル、ベイプペン、タンクシステム、 モッズ、電子ニコチン送達システム(ENDS)とも呼ばれる。

  • 電子タバコを使用することは一般にベイピングと呼ばれる。

  • 電子タバコは液体を熱してエアゾールを発生させ、それを使用者が肺へ吸入して使用する。

  • その液体には以下のものが含まれている可能性がある:ニコチン、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビノイド(CBD)、その他の物質、香味料および添加物。THCは興奮を引き起こし気分や情緒を変化させるマリファナ化合物で、俗に言う「ハイな精神状態」をもたらすものである。

※ビタミンEアセテートに関する重要な事実

  • ビタミンEアセテートは添加物として使用され、THCを含む電子タバコ・ベイピングの添加物として最も知られている。

  • ビタミンEアセテートはビタミン剤として摂取されたり肌に塗られたりする分には通常害はない。しかし、これまでの研究から、ビタミンEアセテートが肺へ吸い込まれると、正常な肺の機能に支障をきたす可能性があると示唆されている。

  • ビタミンEは植物油、穀物、肉類、果物、野菜などの多くの食品に含まれるビタミンである。栄養補助剤としても販売されており、肌用のクリームなど多くの化粧品にも含まれている。